可憐な花と上品な香りで春の訪れを告げてくれる梅の花。奈良時代以前に日本に伝わり、現在では実に200種類以上も種類があります。
珍しいのは、1本の木から、紅・白・うす桃色・絞り・まだらと、さまざまま色合いの花を咲かせる、その名も「思いのまま」という梅。
梅とは深いゆかりのある、学問の神様・菅原道真を祀る京都・北野天満宮では、「思いのまま」の枝を厄除け・無病息災の縁起ものとして授与することでも知られているのです。後編では、「思いのまま」の魅力をお伝えします。
前回の記事はこちら「思いのまま」……の名通り。1本で紅・白・絞りと色を変える無病息災・厄除けの梅【前編】
さまざまな花を咲かせる珍しい梅
白い花を咲かせる梅には、「冬至梅(とうじばい)」「春日野(かすがの)」「内裏(だいり)」「緑萼梅(りょくがくばい)」などが。
赤い花を咲かせる梅には、「八重寒紅(やえかんこう)」「楠玉(くすだま)」「鹿児島紅(かごしまこう)」「八重旭(やえあさひ)」などがあります。
そして、白梅といっても、白・うっすらとピンク味を帯びた白・グリーン味を帯びた白などニュアンスは異なり、紅梅も、濃いめのフューシャピンク、桃のようなピンク、鮮やかな深紅、淡いピンクなど色の濃さは異なるのです。
そして、白・紅・濃いピンク・うす桃・白と紅の絞り柄など、1本の木から、さまざまな種類の色合いの花を咲かせるのが、「思いのまま」という品種。
梅の品種にしては、面白い名前ですよね。
人ではなく梅が「思いのまま」に咲かせる
「思いのまま」という名前は、人が思いのままにいろいろな色合いの花を咲かせることができる……という意味ではありません。
今年、白が咲いたからといって翌年も同じ場所にしろが咲くとは限らないそう。紅しか咲かないときも、白しか咲かないときもあるそうで、梅の「思いのまま」しか咲かないのだとか。