奈良県吉野郡吉野町窪垣内(くぼがいと)
1300年前から犬を飼うと災いがあると言い伝えられている、窪垣内(くぼがいと)と呼ばれる地域があるのを知っていますか?
大海人皇子と大友皇子が王位継承を巡って起こった日本古来最大の内乱「壬申の乱」。教科書でも有名ですね。
劣勢だった大海人皇子はこの地に逃れ、二人の舟守に船の下に匿ってもらいます。すると二人は知恵を働かせて船の上に食べ物を置きます。
そこへ大友皇子の追手が犬を連れてやってきます。人の気配を察して案の定その犬が吠えますが、村人は「食べ物を見て吠える卑しい犬め!」と、石を投げて殺してしまい、大海人皇子を窮地から救ったそう。
そんな伝説から、窪垣内では犬を飼うと災いが起こると云われ、1300年以上も守り続けられているそうです。また、村人はその犬の供養も忘れず供養し、犬塚が建てられました。
後日譚として大海人皇子が後に天武天皇に即位したとき、二人の舟渡し守に「殿」「翁」の屋号を授けます。翁という名前は今でも翁橋という地名で残り、殿という名前は藤野(との)と漢字を変えて名字として残ったそうです。
また、天武天皇が和紙と養蚕の技術を伝えたので、この地が吉野和紙の始まりとなったそうです。