現在放送中の2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、頼朝の妻・北条政子を演じる小池栄子さんの演技に注目が集まっていますが、北条政子は、3代将軍実朝の死後、自ら幕府の実権を握って「尼将軍」「鎌倉殿」と呼ばれていました。
京都大学名誉教授で中世史を専門とする上横手雅敬氏によると、鎌倉時代の婚姻形態は基本的に嫁入り婚であるが、女性の地位は比較的高く、所領の相続権を持っていたようです。(「鎌倉時代」『日本大百科全書 ニッポニカ』(1993 小学館))
北条政子とほぼ同時代、公家社会では、後鳥羽上皇の乳母であった藤原兼子(けんし)が権勢を振るい、「権門女房」と呼ばれていました。
このことからも鎌倉時代は、女性の社会進出が盛んとなった時代でもあったといえるでしょう。
同時代の天台宗僧侶・慈円は『愚管抄』にて、皇極天皇・孝謙天皇という女帝が即位したことを「女人此国ヲバ入眼スト申伝ヘタルハ是也」(女人が日本の国を完成するといい伝えられているのはこのことである。)とのべ、北条政子、藤原兼子が実権を握っていた様子を、「女人入眼ノ日本国イヨイヨマコト也ケリト云ベキニヤ」(日本国は女人が最後の仕上げをする国であるということは、それはいよいよ真実だといえるのではないか)などと評しています。
なお、女性の社会的地位の向上は、身分の高かった人たちの間の出来事だけではなかったようです。