京都・東福寺の塔頭のひとつである天得院で「桔梗を愛でる特別拝観」が行われてます。
東福寺への参道を南へ進み、臥雲橋を渡った先にある、こじんまりとしたお寺・天得院。枯山水庭園に四季の花々が彩りを添えることから「桔梗の寺」「花の寺」として知られてますが、基本、普段は非公開。でも、紅葉が美しい秋と、桔梗が咲く初夏には特別に一般拝観も行ってます。
両シーズンとも日没後はライトアップもやっていて、今のシーズンだと特に桔梗がきれい。有料オプションながら、予約すれば老舗『矢尾治』の精進料理を庭を見ながらいただくことも可能です。
南北朝時代に東福寺の住持によって開創され、東福寺五塔頭のひとつとして栄えた天得院。衰微と再興を経ながら、織豊時代には当時の住持・文英清韓長老が秀吉や秀頼から手厚い保護を受けるに至ります。が、この清韓長老が秀頼に請われて撰文に応じたのが、あの方広寺の梵鐘。「国家安康、君臣豊楽」っていう、あれです。
豊臣家ぶっつぶしの言い訳を欲していた家康に「オレをの名を引き裂くとは何事だ」と見事利用され、大阪は冬の陣、天得院は一時廃絶の憂き目に。何とかのちに再建し、明治初期には他の塔頭と合併して、現在に至ってます。こじんまりとした寺ですが、なかなかな物語を背負ってますね。
そんな天得院、実は寺以外にも見所があります。夜間拝観の行き帰り、特に帰り道の真っ暗さ加減が、密かな魅力。昼間は観光客や修学旅行生でごった返している臥雲橋も、真っ暗。一帯は寺ばっかりなので、明かりも少なく、人通りもまばらです。あまりに暗すぎて女性の一人歩きはおすすめできないくらいですが、京都の夜の暗さ、特に東山近辺の洒落にならないな暗さを体感したいのなら、おすすめです。