イランの国民的アニメは「一休さん」。思いっきり仏教だけどいいんですか??

横田結子

皆さんは「イラン」という国にどのようなイメージを持っているだろうか。おそらく多くの日本人にとって馴染みのない国であり、マスコミから聞こえてくる情報からぼんやりと「テロとか起きてそうな危ないイスラム教の国」という印象を持っているのではないか。

しかし実際にイラン人の友人と話してみると、そんなコワオモテなイメージを覆すような面白い話をしてくれる。まず、イランは世界でもトップクラスの親日国だというのだ。友人は「イラン人が一番好きな外国は、間違いなく日本だね」とキッパリと言う。

そんな彼が幼少時代に親しんだアニメが何と「一休さん」。

何だろう、この一気に親近感の湧く感じ。

友人は幼少時代、外で遊んでいても「一休さん」が始まる時間になるとすっ飛んで家に帰り、テレビの前でスタンバイしていたそうだ。他にもアニメ版「水戸黄門」や「キャプテン翼」も放映されており、イランのちびっ子の間で日本のアニメは絶大な人気があったという。

ところで、バリバリのイスラム国家であるイランで、仏教についての番組を子供に観せていいの?という疑問が当然沸いてくる。しかし、実際このアニメは仏教という宗教的な観点からは捉えられていなかったようだ。というのも、このアニメの魅力は、友人も言うように「一休さんがどんな問題に直面しても冷静に考え、誰も傷つけることなく平和的な解決法を導くところ」だったからなのだ。これは、宗教云々ではなく当時のイラン政府も子供の教育のために良い番組だと判断したのだろう。

イランではアニメのみならず、連続テレビ小説の「おしん」が爆発的な人気を博したこともあったし、日本製の電化製品や自動車は皆の憧れの的であるし、また日本人旅行者がイランに行けば危ないどころか大歓迎されて無料でご飯をご馳走してもらうことも多いと聞く。もう、ともかくイラン人は日本が大好きなのである。

他国からのそうした信頼や憧れは一朝一夕で獲得できるものでも、ましてや財力で獲得できるものではない。日本は天然資源に乏しいが、イランのみならず世界各国の人々からのこうした気持ちを重要な「資源」と考えて、それをうまく活用していったらどうだろう。アメリカ・中国・ロシアなどの大国が地団太踏んでも手に入れられない貴重な資源が日本にはあるのだから。

まずはアニメの話でもして、いろんな国の人と仲良くなってみよう。世界がぐっと身近に感じるかも。

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