東京・原宿にある浮世絵専門美術館「太田記念美術館」にて、歌川国芳(うたがわくによし)の作品にフォーカスした展覧会「没後160年記念 歌川国芳」が開催されます。
歌川国芳は江戸時代後期に活躍した浮世絵師。葛飾北斎や歌川広重らにならび、現代でもとても人気の高い絵師です。
国芳は10代後半で浮世絵師としてデビューし、売れない不遇の時期を過ごしたあと、30代前半に描いた「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」シリーズで大ブレーク。以降は勇壮な武将を描いた武者絵や、コミカルな笑いを描いた戯画、独自の魅力にあふれた風景画、美人画、役者絵、子供絵など、ありとあらゆるジャンルを精力的に手掛け、多くの弟子も育てて浮世絵界を牽引しました。
2021年は国芳の没後160年にあたる年で、これを記念して開催される本展では、国芳の生涯と作品を改めて紹介し、その魅力に迫ります。
逆境をポジティブに乗り越える!
歌川国芳は、天保の改革の影響下における不安定な世情の中で、精力的に作品を描き続けたことで知られています。中には当時の幕政を暗に風刺しているとして絶版になる作品もあり、奉行所の取り調べを受けることもありましたが、国芳はまったくへこたれず、創意工夫をこらした新たな作品を次々に生み出していったのです。
巨大モチーフで度肝を抜かす!
歌川国芳は「通俗水滸伝豪傑百八人之一個」シリーズの大ヒットで一躍人気絵師の仲間入りを果たします。武者絵の第一人者となった国芳ですが、それに満足することなく、常に新しい構図やテーマに挑むことを怠りませんでした。中でも国芳の武者絵を語る上で欠かせないのは、骸骨や鰐鮫など、大判3枚続きの大画面いっぱいに巨大なモチーフを描いた大迫力の作品群でしょう。
タブーに挑む!
歌川国芳は、浮世絵でタブーとなっている題材にも果敢に挑戦しました。その一例が絶版になったことで知られる『絵本太閤記』(武内確斎作・岡田玉山画)の世界を描いた作品です。豊臣秀吉や織田信長らが活躍した時代を題材にすることは幕府によって規制され、出版がはばかられていましたが、たとえば武将の名前を一部もじったり、あるいは織田信長の名を源義経などに置きかえ、源平合戦に仮託することで本能寺の変を描いたりしました。
歌川国芳の作品といえばその幅広い作風が魅力の一つ。勇壮な武者絵を描いたかと思えば、とってもコミカルな擬人化された猫ちゃんを描くなど、バラエティ豊かな作品群は一見の価値あり!
展覧会「没後160年記念 歌川国芳」は、2021年9月4日(土)~10月24日(日)の期間で開催されます。
- PART Ⅰ 憂き世を笑いに!―戯画と世相
9月4日(土)~9月26日(日) - PART Ⅱ 江戸っ子を驚かす!―武者と風景
10月1日(金)~10月24日(日)
画像出典:公式ホームページ