公益財団法人アダチ伝統木版画技術保存財団が、同財団の展示場にて、企画展「北斎・広重の浮世絵に見るジャパンブルー ~渋沢栄一の生きた時代~」を開催中。
本展では、2021年NHK大河ドラマ「青天を衝け」の主人公であり、「日本資本主義の父」と言われる渋沢栄一や、同じ時代を生きた浮世絵師・葛飾北斎や歌川広重らが活躍した時代の「青色」に注目し、私たちが日本のイメージカラーとして親しんでいる「ジャパンブルー」のルーツを、鮮やかな復刻版浮世絵で探ります。
そしてなんとこの企画展、コロナ禍の状況を鑑みて、より多くの人に楽しんでもらえるように、無料でオンライン上でのVR展(日本語版/英語版)としても開催中なのです!
舶来の絵具がもたらした鮮やかな青の浮世絵が大流行
渋沢栄一が生まれたのは幕末、天保11(1840)年。彼が生まれる十数年前、江戸では舶来の鮮やかな藍色の絵具「ベロ藍」(プルシャンブルー)を使用した「藍摺絵(あいずりえ)」と呼ばれる浮世絵版画が流行します。
葛飾北斎の代表作「冨嶽三十六景」も、当初はこの「藍摺絵」のシリーズとして企画されました。空や海といった空間を表現するのに最適なベロ藍の登場は、とりわけ風景画の表現の幅を広げ、この時代、北斎・広重の名作が多数生まれることになります。青は、時代の流行色となったのです。
訪日外国人に衝撃!神秘的な青に彩られた江戸の暮らし
衣料品や陶磁器、そして浮世絵版画など、江戸時代の庶民の生活は質素でありながら、さまざまな青色で彩られていました。このことは、明治期に来日した外国人たちの目にも印象深く映ったようで、彼らの記録にも残っています。
「ジャパンブルー」という言葉を最初に用いたのは、お雇い外国人として日本にやってきた英国人化学者のロバート・W・アトキンソンだと言われています。
浮世絵、パリへ 世界の人々を魅了したブルー
栄一が使節団として派遣された第2回パリ万国博覧会(1867年)は、浮世絵が本格的に世界に紹介された初めての機会とされており、ここからジャポニスムの気運が高まっていきます。
ヨーロッパの人々は、浮世絵に見られる奥深い青を、歌川広重の名を冠した「ヒロシゲブルー」と呼んで称賛します。日本が世界に開かれていく時代、日本の職人の高度な技術によって、ヨーロッパ発祥の絵具の魅力が再発見されることになりました。
本企画展のVR展(日本語版/英語版)では、世界中の文化施設で導入されているMatterport(マターポート)のサービスを活用し、パソコンやスマートフォンの簡単な操作で、世界中どこからでも展示が楽しめますので、ぜひチェックしてみてください。
企画展「北斎・広重の浮世絵に見るジャパンブルー ~渋沢栄一の生きた時代~」
- 会 期:2021年6月22日~8月21日 時 間:火~金曜日 10:00~18:00/土曜日 10:00~17:00 休業日:日・月曜日、祝日 住 所:東京都新宿区下落合3-13-17
- 観覧料:無料