東京都千代田区にある「皇居」。東京の中心にあって膨大な面積を有する敷地には、江戸時代まで時の権力者であった徳川家の将軍が居住する「江戸城」が存在した。
現在は天守はおろか城自体も現存せず、第一印象ではその面影を感じることはできない。しかし、敷地内には当時の栄華を示す石垣や建築物の跡を確認することができる。
この記事では、そんな江戸城跡の魅力を紹介したい。
「皇居東御苑」とは
皇居東御苑は皇居の一角にある庭園だ。入り口は「大手門」「平川門」「北桔橋」の三箇所からなり、二時間程度で敷地内を一周することができる。東京駅側にある大手門から入ると、貴重な当時の遺構である「同心番所」や「百人番所」を確認することができるためオススメだ。
天守跡へ続く道は比較的傾斜の強い坂道になっており、観光客同士がすれ違うことも多いだろう。坂を登っていくと、左手の先端には本丸地区に現存する唯一の櫓、「富士見櫓」を拝むことができる。庭内では現存する最古の遺構だ。優美な立ち姿はぜひ一度見ておきたい。
中央部に足を向けると、解放された大きな芝生地が飛び込んでくる。天守台まで続く広大な芝生地は、本丸と大奥の跡地となっている。天守台方面向かって左側には、「忠臣蔵」で有名な松の廊下が走っており、跡地の立て札を確認することができる。
芝生地の最奥にそびえる天守台は江戸時代に三度建てられたが、1657年の明暦の大火以降、再建されることはなかった。現在は展望台として解放されており、東京の街を一望することができる。
また、二の丸地区の庭内には「二の丸庭園」や雑木林、都道府県の木などが植樹されており、豊かな自然環境の中でゆっくりと歴史を堪能することが可能だ。