子供が生まれた時、大人はその幸せを願って名前をつけるもの。そこで古くから様々な名前が記録に残されていますが、今回ピックアップするのは『日本書紀(※1)』に登場する豪族・物部目(もののべの め)。
目の字なら「まなこ」「さかん(律令制度における国司の階級)」などと読んだ方が語呂もよさそうですが、あえて「め」というシンプルさが、接する者に強烈なインパクトを叩き込みます。
命名の由来は不詳ながら、生まれた時によっぽど目がぱっちりクリクリと輝いていたのかも知れませんね。視力もマサイ族並みに5.0とかありそうです。
さて、そんな「出オチ(※2)」っぽい名前の物部目ですが、その活躍もちゃんと記録に残されており、今回はそちらを紹介したいと思います。
(※1)にほんしょき。日本に現存する最古の正史(正統な歴史書)。
(※2)登場の瞬間にクライマックスを迎え(オチがつき)、以降の内容が薄い状態(作品など)。
伊勢国で叛乱を起こした朝日郎の征伐に
物部目は物部伊莒弗(もののべの いこふつ)の子として生まれ、雄略天皇(※3)が即位した安康天皇三457年11月13日、天皇陛下の政治を補佐する大連(おおむらじ)の姓(かばね)を賜ります。
穏和な性格と公正な態度で、時に「大悪天皇」とも言われた気性の激しい雄略天皇をよくなだめましたが、決して文弱に偏ることなく、醜の御楯(※4)として武勇にも優れていました。