天下人もクジラもみんな好物!昔から親しまれている「蕎麦ジョーク」を集めてみました!

皆さん、蕎麦(そば)はお好きですか?筆者は大好きです。

昔から日本人の食生活になじみの深い蕎麦ですが、同時にジョークのネタとしても親しまれてきました。そこで今回は、蕎麦にまつわる古典的ジョークをいくつか紹介したいと思います。

秀吉と蕎麦掻

今は昔、時の天下人・豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)が家来たちと一緒に夜食の蕎麦掻(そばがき。蕎麦粉を熱湯で練ったもの)を食べていると、長岡玄旨(ながおか げんじ。細川幽斎)がよい香りに釣られてやって来ました。

「おぉ、玄旨か。そなたも皆と蕎麦を食え。美味ゃあでよ」

と蕎麦掻の椀を差し出されました。すると玄旨は即興で、こんな和歌を詠んだそうです。

「薄墨に 作りし眉の そばかほを よくよく見れば 帝なりけり」

※江戸初期の笑話集『きのふはけふの物語』より。

薄墨(うすずみ)とは黛(まゆずみ。眉を描く墨)の薄いものですが、女房詞(にょうぼうことば。女性たちの間で流行った隠語)で「蕎麦掻」を意味しています。灰色のぼったりとした形状が、眉を連想させたのでしょう。

そばかほ(側顔)とはそのまま横顔の意味で、これは「蕎麦or蕎麦掻」との掛詞(かけことば)です。

そして帝(みかど)とは天皇陛下の事ですが、女房詞では「蕎麦」を意味します。蕎麦の実には角(かど)のような突起が三つあるため、「三角⇒帝」と掛けたのです。

つまり、この和歌は「薄墨で眉を描いた横顔をよく見たら、何と帝でいらっしゃいましたか」という意味になりますが、ここで帝と言っているのは外ならぬ最高権力者である秀吉を指しています。

帝と見間違えるほどに素晴らしい方……ずいぶんご大層なおべんちゃらもあったものだ、と周囲の者たちはその図太さに呆れるやら感心するやら……とまぁ、そんなお話。

3ページ目 「もり蕎麦はごめんだ」

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