「オー!ゲイシャ!ニンジャ!ハラキリ!」
今どきこんなステレオタイプなセリフではしゃぐ外人さんがいるのかは存じませんが、外人さんが「日本と聞いて連想するもの」のトップクラスにランクインするであろう「芸者(げいしゃ)」。
かつてはどこの花街にもいて宴席に歌舞音曲の華を添えていたそうですが、今では京都以外の場所ではなかなかお目にかかれなくなっているようです(筆者もじかに拝んだことはありません)。
ところで、この「芸者」と似た言葉に「芸子(げいこ)」や「芸妓(げいぎ)」なんていうのも耳にしますが、これらにはどんな違いがあるのでしょうか。
芸者(げいしゃ)
これは文字通り「芸能を生業とする者」を意味しており、武芸者などとも呼ばれたように特定の芸能にとらわれずに用いられていました。現代でいうところの「職人」みたいなイメージでしょうか。
そして意外なことに、芸能方面の職業は女性よりもむしろ男性の役目とされ、もともと芸者と言えば、男性を指すことが多かったようです。
芸子(げいこ)
女性が宴席にはべって芸能を披露するようになったのは江戸中期(18世紀)ごろからで、上方(京都を中心とする近畿地方)ではそうした女性たちを従来(男性)の芸者と区別するために「芸子」と呼ぶようになりました。「女の子」という意味ですね。
一方、江戸では「女芸者」とストレートに呼んでおり、やがて男性の芸者が廃れて「女芸者」ばかりになると、頭文字が不要となって省略され、「芸者=女性」が定着するのでした。