先日、憎しみから蛇に変身したストーカー少女の伝説を紹介しました。
平安時代のストーカー伝説!憎しみから蛇に変身した少女の壮絶な愛憎劇とは?
いつの世も、男女関係は計り知れないものがあります。とくに昨今だと、ストーカーによって起こされる事件が後を絶ちませんよね。しかし、ストーカーは現代だけの事件ではありません。平安時代にも、憎しみの…
人が蛇に変身するなんて凄まじい感情があったのでしょうが、実は神話の世界でも似たような話があるのです。ただし、こちらは変身したのではなく、「正体が蛇だった」というエピソードになります。
言葉が話せなかった皇子
日本の神話を伝える古事記には、第11代天皇・垂仁(すいにん)の第一皇子・本牟都和気命(ほむつわけのみこと)のエピソードがあります。ちなみに本牟都和気命は古事記の名ですが、日本書紀では「誉津別命」です。(読みは同じ)
本牟都和気命は幼い頃より言葉を発しませんでした。垂仁天皇はかなり心配していましたが、ある日、夢の中で何者かから「天皇の宮と同じように私の宮を作れば、皇子は話せるようになるだろう」と告げらます。
そこで、夢にあらわれた者の正体を占ったところ、出雲大神であることが分かりました。皇子が話せなかったのは、出雲大神の祟りだったのです。
天皇は早速、皇子を出雲へ向かわせます。そして出雲で参拝が済んだあとの皇子が、肥河(ひのかわ)で出雲の人に言葉をかけたことでお供の者が驚くのです。
皇子が話せるようになったことに喜び、天皇は出雲に立派な宮を建てました。垂仁天皇のころに、出雲大社が造営されたと日本書紀にも記載されています。