「嘘を吐(つ)いたら、地獄で閻魔(えんま)様に舌を引っこ抜かれるんだからね!」
子供の頃、よくそう言われたものですが、大人になると地獄を治めているのは閻魔様だけじゃなく、十人の王様「十王(じゅうおう)」がいることを知りました。
十人もいるからには皆それぞれに役割がある筈で、今回は私たちが死後出会うことになるであろう十王たちの顔ぶれを紹介したいと思います。
一人目は「殺生の罪」を裁く秦広大王
私たちが死んでから最初の七日目を「初七日(しょなぬか)」と言い、ここから生前の罪業についてお裁きが下されますが、その時の裁判官がこの秦広大王(しんこうだいおう)です。
秦広大王が担当する審査項目(罪状)は「殺生をしていないか」、言い換えれば「命を粗末にしなかったか」。
たとえあなた自身が虫一匹殺さなかったとしても、例えば食べ物を無駄にすれば、その元になった命を粗末にしたことになりますし、自殺などすればそれも自分の命を粗末にしたことになります。
審判に際して発言は可能みたいですが、虚偽の申告をすると舌を引っこ抜かれるのは、どの王様でも同じなのでご注意下さい。
ここで弁護をしてくれるのが不動明王(ふどうみょうおう)。遺族たちが初七日の供養を行うのは、故人を護ってくれる不動明王に対する心づけの意味もあります。