居酒屋で見かける徳利と通帳をもったタヌキは何者?どうして広まったのか?

湯本泰隆

町の居酒屋でよく見かける、徳利と通帳をもって立っているあのタヌキ。

彼はいったいどこから来たのか。名前はあるのか。なぜタヌキなのか・・・など、真剣に考えた読者の方も多いのではないでしょうか。

このタヌキの置物は、信楽焼で有名な滋賀県信楽町の名産で、股間に大きな“玉袋”がぶら下がっていることから、外国人にもファンが多いとか。

タヌキの“玉袋”についてはこちらの記事も併せてご覧ください。

タヌキの金玉はなぜ大きいの?誰がいつ最初に言ったんだ問題を解決(実際は小粒)

まずは江戸時代の浮世絵師・歌川国芳が描いたこちらの浮世絵をご覧ください。[caption id="attachment_84997" align="aligncenter" width="48…

タヌキのかぶっている「かさ」は「災難を避ける」、手にする「徳利(とっくり)」は「人徳」、「通い帳」は「信用第一」という意味があり、商売繁盛の縁起物として扱われています。

実はこのタヌキのキャラクター、きちんとした作者がいるんです。彼の名前は藤原鉄造。名前は「鉄を造る」ですが、彼が作っていたのは陶器でした。

鉄造は、1876(明治9)年生まれ、58歳から89歳で亡くなるまで、信楽で陶芸をしていました。タヌキの置物が制作されたのは、彼が信楽に移り住んだ直後の1935(昭和10)年頃とされています。

3ページ目 どうして愛嬌のあるタヌキを作り始めたのか?

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了