北海道の先住民であるアイヌ。彼らは私たち日本人にとって常に身近な存在であったにも関わらず、少数民族であるがために、彼らの文化は謎に包まれた部分も多くありました。
しかし徐々に昔のアイヌ文化への研究が進み、近年では漫画「ゴールデンカムイ」の流行などから少しずつその魅力が世に知られるようになってきました。
アイヌにとって「カムイ」とは
アイヌについて知ろうとする時、アイヌ特有の世界観を最も象徴するキーワードの1つが「カムイ」です。漫画の題名になるくらいですから、アイヌにとっては大変重要な事柄といえます。
実はこの「カムイ」、日本語に訳そうとすると大変説明の難しいものなのです。「神」と訳される事もあるようですが、それは間違いではないものの、100%正しくはないとの事。日本の神は神社や神棚に祀られますが、カムイは日常生活で自分の周りに存在する動植物、自然など様々なものに宿ります。
じゃあ日本の縄文時代の精霊信仰「アミニズム」と全く一緒かというと、それも少し違います。カムイには人間が作った道具も含まれるのです。つまりカムイの定義は、「人間の力の及ばない能力を持っているもの、人間のために役に立ってくれているもの」と言えるでしょう。
たとえ食器であっても、人間の役に立ってくれているので、カムイが宿っていると考えられるのです。