部屋の中へ、畳を一枚、ポーンと置いてみるということ。
一枚で不満なら、二枚でも構いません。とにかく、部屋全体に敷き詰めるのではなく、畳をスタンドアローン的にただ置いてみるということ。その光景は、あなたにとってどんなイメージを喚起するものでしょうか。
私の頭には、貧乏なテレビ局 or 劇場の楽屋しか、思い浮かびません。あるいは、もうすぐ新作で出る「水曜どうでしょう」の「30時間生CM」2日目に於ける人間崩壊の様か。粗末極まる環境の中で、救命イカダの如き存在感を放つ、小さな畳スペース。美しいか美しくないかでいえば、決して美しいとは言えない、あの光景です。それでいて、日本人の私たちには何かが「わかってしまう」、あの光景です。
フローリングがどれだけ一般化してもなお、畳の吸引力のようなものは失われていないと思います。まず、匂いが違う。感触も違う。それらの魅力は、むしろ畳を床へポーンと置いてみることでより強く発揮されるものなのかも知れません。というわけで、話は「たたみっふる」です。
岐阜県の畳会社さんが生み出した「たたみっふる」は、斬新なラインにデザインされた、置き畳。そう、畳です。見た目は完全にマットというか、ラグというか、とにかく畳の常識を超えてますが、畳です。
「まんまる」「おつきさま」「はーと」「ひし」と、従来の畳には全く無かった形に加え、色も5色を用意。単体使用はもちろん、複数の色と形を組み合わせて独自のインテリアを作り出すことも可能。可愛い。それでいて、寝転びたい。吸引されます。すでに東京インターナショナルギフトショーでも審査員特別賞を受賞されているとか。
畳を「和室床の単なるデフォ仕様」として認識するのではなく、その根源的な吸引力をいろんな分野で積極的に活かすということ。ポップな意匠の置き畳は、新しい畳の世界を生み出していくのかも知れません。
たたみっふる – 株式会社 国枝