稲作や養蚕を中心に生業を行っていたかつての日本人にとって鼠は米や蚕を食い荒らす天敵。鼠たちから作物を守ってくれたのが猫。やがて猫は鼠除けにご利益のある存在として信仰の対象になっていきました。かつては日本各地の神社・仏閣に鼠除けの神符が授与されていました。
時代が変わり、稲作や養蚕を中心とした産業が衰退するにつれて次第に鼠除けのお札も見られなくなってきました。
ところが、新潟県南魚沼市大崎にある「八海山尊神社(はっかいさんそんじんじゃ)」では、現在も鼠除けの神符を授与しています。八海山尊神社は、越後三山の一所として知られる霊峰八海山の麓にあります。八海山信仰の中心地として古くから人々の信仰を集めてきました。
同神社の神職の方や氏子さんの話によると、こちらの神符の効果は絶大で、かつては他県からこの神符を求めてやってくる参拝客が後を絶たなかったのだとか。
時代が移り変わり、農業や養蚕に従事する人たちが少なくなると、鼠除けとして求める人たちは激減したそうですが、近年の猫ブームの影響で、かわいい猫の描かれた「猫札」として、全国各地から猫好きたちが訪れるのだとか。