どうして神社に絵馬を奉納するのでしょうか?馬は神様の乗りものだから

湯本泰隆

馬は神様の乗りもの

日本人は、願をかける際、古くから神社に絵馬を奉納することが習わしでした。『絵馬』を神様に奉納するという風習も既に奈良時代から始まっていたと考えられており、日本各地の奈良時代のものとされる遺跡からは、絵馬の一部が発掘されています。

古来より馬は「神様の乗り物」と考えられ、神様が願いをかなえに人間のところにやってくるときには馬に乗ってやってくるとされていました。そのため、人々が願をかけるときは神様に馬を奉納するのが習わしでした。『続日本紀』には、干ばつや雨乞いの際に生贄として馬を奉納したという記録が残されています。

今でも大きな神社には神馬舎(しんめしゃ)があり、馬が大切に飼育されているところもあります。

しかし、古代より馬は非常に貴重な動物でした。なおかつ、神社に馬を奉納した場合、その餌の費用も祈願者がもたなければなりませんでした。このように、生馬を奉納するのはとても大変なことで、実際に生馬を奉納できたのは、財力と権力を持った一部の権力者だけでした。

3ページ目 本物の馬の代わりに献上される「馬形」

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