江戸時代に描かれた浮世絵の中で人気の高かったジャンルのひとつに「寄せ絵」があります。人や物を集めて一つの形にした絵のことで、歌川国芳による「みかけハこハゐが とんだいゝ人だ」が代表的な作品といえるでしょう。
江戸時代、このような「寄せ絵」は数多く作られましたが、今回紹介するのは「寄せ絵」に似た趣向で作られた「身振いろは芸」という書物。
「身振いろは芸」は文政12年(1829年)に刊行された作品で、著者は「東西庵南北(とうざいあん なんぼく)」という江戸時代の戯作者。絵は浮世絵師「二代目 北尾重政(きたおしげまさ)」が担当しています。
「身振いろは芸」は、いろはにほへと…の文字を人間のカラダで表現するという、なんとも無理ゲー臭漂う芸ごとを紹介する作品で、平仮名を一人で表現したものもあれば、複数人で表現したもの、道具を使って表現したものなどさまざま。
絵を見ると確かに人のカラダで平仮名を表現して入るのが、どう考えても”カラダそんな曲がり方しないだろ”と思えるようなものが溢れているのです(笑)
以前紹介した、影絵を指南する江戸時代の書物「於都里伎(おつりき)」を彷彿とさせますね。
無理ゲーだろこれwww 江戸時代の影絵の指南書「於都里伎」がアクロバティックすぎる
小さい頃、影絵で遊んだ経験はありますか?指や紙、時には体を使って、後ろから光を当てスクリーンに様々な形を投影する遊びで、日本ではこの遊びは江戸時代でも楽しまれていました。そんな影絵を指南する江…
そんな部分も含めて戯画作品として楽しんでもらうための書物なのだと思います。中には実際に再現可能なものも多数ありますので、新年会の余興にいかがでしょうか?くれぐれもケガにはご注意を♪
それでは「身振いろは芸」をどうぞ。