色彩に対する好みや、イメージは国や地域によって異なります。日本国内でも、赤といえば東京では「雷門」、沖縄では「守礼の門」が思い起こされるかもしれません。地域ごとに印象の異なる色彩を、福島県ならではの色彩として形にしたプロジェクト『ふくしまのいろ』をご紹介します。
福島県印刷工業組合によって調査が進められていたプロジェクト「ふくしまの伝統色事業 ~ふくしまの伝統色彩調査と色彩文化の保存・発信~」。2017年5月からスタートしたこのプロジェクトにより、福島県の風土や文化を色濃く伝える『ふくしまのいろ』として14色が選定されました。
福島県内各地で調査、集められた情報の中から、地域バランス、自然・伝統文化・食などのカテゴリーなども考慮しつつ、それぞれの地域を代表する伝統色が選定されています。
今回『ふくしまのいろ』として選ばれた14色それぞれには、福島県を代表する場所や名産品にちなんだ名前が付けられています。つるがじょう、たきざくら、もも、しらかわだるま、あんぽがき、おおうちじゅく、ながとこ、しみどうふ、もりあおがえる、いわせきゅうり、おおぼりそうまやき、いなわしろこ、しおやさきとうだい、せきたん。それぞれの名前と色のイメージがぴったりです。
あわせて、『ふくしまのいろ』14色を使用したロゴマークも制作されました。選ばれた14色が組み合わさって「福」の文字を形作っています。どの色も地域に根差したものから採取され、素朴で優しい印象の色味です。
PDFでのダウンロードも可能な「ふくしまのいろ」パンフレットでは、それぞれの色が持つストーリーや福島の風景を切り取った美しい写真も掲載されています。まるで観光ガイドのようなパンフレットを眺めていると、色をめぐって福島を旅したくなります。
選定された14色は今後、福島県の魅力を伝えるために活用され、県内外に広く発信されていくとのこと。福島で育まれた風土や文化を伝える色彩を、次世代の子どもたちに、その先の未来にも伝えていく素敵な試みですね。