波乱万丈の生涯!映画「空海-KU-KAI-」に登場する阿倍仲麻呂ってどんな人?[前編]

やたろう

2月24日に日本で公開された映画『空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎』の登場人物の一人に阿部寛さんが演じる阿倍仲麻呂(あべ の なかまろ)と言う人物が居ます。彼は、日本からの留学生にして唐(中国)の役人と言う異色の存在で、その数奇な人生は空海に勝るとも劣らないものです。今回は前編と後編で仲麻呂の人生を紹介します。

留学生に抜擢!青年文人、憧れの遣唐使に同行する

阿倍仲麻呂は文武天皇2年(698年)、安倍船守の長男として大和国(現在の奈良県)に生まれました。子供の頃から学問に優れていた仲麻呂は霊亀3年・養老元年(717年)に第9回目の遣唐使に、留学生(るがくしょう)として同伴します。

この頃、中国を支配していた唐王朝は世界最高峰の文化・技術を誇る大国であり、我が国でも多くの学生が使節団である遣唐使に随行し、最先端の学問を学ぶことを夢見ていました。恐らくは仲麻呂もそうした青年文人の一人として、参加できることに決まった時はさぞ嬉しかったことでしょう。

仲麻呂の学問は中国大陸でもいかんなく発揮され、唐の太学※で学んだ彼は科挙(かきょ)と言う試験で合格し、宮廷に召し抱えられたと伝えられます。この科挙は、経典や詩文に精通したインテリが挑戦する競争率の非常に高い試験で、これに合格したのだから仲麻呂の博識ぶりがうかがえるエピソードでもあります。

※たいがくと読む。中国などアジア諸国で設けられた官僚育成の公立学校

3ページ目 仲麻呂、ついには皇帝からも寵愛を受ける

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