江戸時代グルメ雑学(12)寒い日の味方けんちん汁は材料を粗末にしないエコ料理

やたろう

2月は暦の上では春に当たりますが、まだまだ寒さが残るので温かい料理(出来れば熱燗も)が恋しくなりますね。そんな時には栄養豊富な根菜と豆腐、健康食材のコンニャクを使ったけんちん汁は何とも美味しいものです。

そこで本項では、けんちん汁にまつわるうんちくをご紹介致します。

建長寺汁?それとも巻繊汁?名前の由来も色々だった

けんちんと言う言葉の由来には二通りがあり、ひとつ目が江戸時代に幕府の保護を受けた寺のひとつである建長寺説。鎌倉時代に南宋(今の中国)から建長寺に招かれた僧侶が、崩れた豆腐を無駄にせず、野菜と一緒に煮込んだ汁物が『建長寺汁』と呼ばれ、それが『けんちん汁』になったと言われています。

ふたつ目が、江戸時代に京都の萬福寺(まんぷくじ)で作られ始め、広く愛好された普茶料理※のひとつ、巻繊(けんちぇん)が語源とする説。この料理は本来、野菜と豆腐の炒め物を具にした春巻のような食べ物、もしくはもやしの炒め物なのですが、いつしか炒め煮の汁物を指すようになりました。

このように、けんちんの由来は大きく分けて2つ存在しますが、豆腐や野菜を炒める調理法であること、中国文化、特に禅の影響を受けた寺で作られ始めたことが共通しています。仏教の戒律に基づいた精進料理の伝来を物語っているとも言えますね。

※普茶料理(ふちゃりょうり)江戸初期に中国から伝わった中華風精進料理。

2ページ目 昔は慈悲と平等、今はエコ。けんちん汁は優しさの集合体

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