力士の後ろで「シー」
相撲を観戦したことがない人でも、横綱の土俵入りを見たことがある人は多いと思います。露払いと太刀持ちを従え、綱をしめた横綱の姿は勇壮ですね。ついつい横綱ばかりに目が奪われてしまいがちですが、行司の所作にもしっかりと意味があるのです。
まず、行司は土俵の仕切り線の後ろで蹲踞(そんきょ)をしています。横綱が徳俵(土俵の東西南北、四ヶ所にある出っ張り)の付近で蹲踞したまま柏手を打ちます。そして土俵の中央に進み、行司に背を向ける状態で仁王立ちになります。
実はここで、行司は「しー」という声を出しながら、紐房を時計回りに1回、反時計回りに1回まわしているんですね。
この「しー」(すぃーと聞こえることも) という声は「警蹕(けいひつ)」といって、「静かにしなさい」という意味の一種の警告なのです。
2ページ目 起源は中国。不敬を未然に防ぐための掛け声なんです