前回、出雲の神様である大国主命が白兎を助けて、『お姫様と結ばれる』予言を受けたくだりまで紹介しました。果たして、兄弟神の荷物を持ってお供を続ける大国主命(オオクニヌシノミコト)は、幸せを掴めるのでしょうか…
10月の旧名「神無月」の由来は出雲の大国主命?そもそも大国主命とは誰?
10月の旧名を“神無月”と言いますが、その名の由来は諸説あり、最も有力なのが『出雲に鎮座する大国主命(オオクニヌシノミコト)のもとに全国の神様が集まるため、出雲以外の土地に神様がいなくなる』とする説で…
成功したプロポーズが命取りに…
さて、因幡に着いた兄弟神達は自分こそ姫の婿殿になろうと希望に胸をふくらましていましたが、因幡のお姫様であるヤガミ姫は『私は大国主命を婿にしたい』と言います。こうなると面白くないのは兄弟神で、彼らは現在の鳥取県西部に位置する伯耆(ほうき)の山に大国主命を誘い出してこう告げます。
「この山に赤い猪がいる。下に追い落とすから捕まえるんだ!」
実はこの赤い猪と言うのが大きな石を焼いたもので、巨大な焼け石で押し潰された大国主命は息絶えます。それを見た大国主命の母神は天界の神様・カムムスヒにお願いして、貝の女神を派遣して貰いました。女神は、貝殻を削って作られた母乳のような薬で大国主命の生命力を蘇生させたのです。
それを見てますます怒った兄弟神(懲りませんね)は、今度は大国主命を太い木の割れ目に入れて圧殺しようと目論みました。またしても罠にかかって死にかけた大国主命は、母神の忠告で今の和歌山県、木の国(紀伊)に逃れるも追撃されてしまいます。
暴れ込んで来た兄弟神に対抗しかねた大国主命は、見かねた地元の神様に導かれて根の国―スサノオが支配する地底の国へと落ち延びていったのでした。