漆に「第三の価値」を作り出す歴史×職人×流行の新たな動きがはじまっている

松浦良樹

伝統の漆に新しい波が到来

漆と日本人の付き合いがはじまったのは縄文時代。海外では漆のことをJAPANと呼ぶほど漆は日本のものとして認識されているのをご存知だろうか。

漆は日用品や高級品として日本人の生活を支え日本文化や伝統を繋げてきた。木をコーティングする漆があったからこそ守られてきた文化財も多い。そんな漆に日用品や高級品ではない第三の価値を作ろうという動きが活発化している。

銀座ロフトでも漆にフォーカス

2017年6月23日にオープンしたばかりの銀座ロフトでは、漆にフォーカスした「漆道(うるしみち)」が、7月2日までの期間限定で開催されている。漆道では「挑む」「紡ぐ」「極める」の3つのテーマで漆を活用した展示販売をおこなっている。

挑む

「挑む」では「麗しの漆 女性11人がデザインする漆100%の漆器展」として歌手・女優・タレントの小林幸子、アイドルグループ 夢みるアドレセンス、大行寺住職 英月、漆評論家の加藤千晶、石工職人 上野梓、鬼瓦職人 伊達由尋をはじめ各界で活躍する女性著名人の個性豊かな作品が並ぶ。これらの作品は漆塗り職人 武藤久由が開発し、漆を塗料から造形素材へと進化させた漆100%の漆器製作技術を活用したものだ。

紡ぐ

「紡ぐ」では「アートトイ×漆コラボ展」としてT9Gやナガザワショーコ、こなつをはじめ9人の人気クリエイターの創作したアートトイフィギュアに漆をコーティング、デザインした作品を展示。このコーティング技術は繊細な塗りを可能とする漆塗り職人 伊藤広之の「吹き付け技法」なくして完成できなかった作品たちだ。

極める

漆の未来を感じさせる作品ばかりではない。「極める」のコーナーでは「本物の漆製品に出会う」として国産漆のシェア80%を誇る岩手県の「浄法寺漆(じょうほうじうるし)」の製品や女性漆芸家の作品が並ぶ。

 

3ページ目 現代の漆の立役者と漆を取り巻く現況

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