平和な時代が続いた江戸時代には様々な娯楽が生まれましたが、特に男性の憧れと言えたのが遊郭です。愉しみを求めるお客様をもてなすのに欠かせないのが酒肴で、遊郭ではどんな料理が出たのか、気になりませんか?
そこで、本項はそんな遊郭で振る舞われた料理について紹介していきます。
豪勢な仕出し料理・台の物は宴会の人気者!
浮世絵などでお金持ちの商人や上級武士が遊女を侍らせて酒宴(羨ましい…)をしているシーンに、足付きの台に盆栽のような木・花と一緒に盛られた料理が描かれることがあります。それが遊郭で振る舞われる料理の中でもことに華やかな、『台の物』です。
これは、台屋と呼ばれる料理店が注文を受けて松竹梅などの意匠を凝らした飾り付けをした台に料理を盛って茶屋や遊女屋に運んでいき、翌朝には器だけを回収しに行くデリバリー式の料理でした。
松竹梅や造花の傍に盛り込まれた料理は、決して食べられなくはないのですが、どちらかと言えば宴会を盛り上げるために使われたモニュメントに近く、見て楽しむ物と言う傾向が強い、遊郭らしい料理でもあったのです。