観光地や温泉地での人気のお土産の一つに、お饅頭があります。お饅頭は、平和になって食が多様化した江戸時代に食文化の一つとして花開きましたが、そこに至るまでは長い歴史がありました。
饅頭誕生の陰には三国志と禅宗があった
饅頭の起源には諸説ありますが、最も有名なのは三国時代の英雄・諸葛孔明が深く関わる説話です。南方遠征の際に暴風雨に悩んだ孔明が、「人間の生首を神に供えましょう」との提案に対し、人命を損なわない策として、小麦粉の皮で肉餡を包んだお供え物を考案したといわれています。
当初は人の頭ほどもあった饅頭ですが、徐々に小さくなって今の肉まんに近いサイズになり、具のバリエーションも増えて中国全土にに普及していきました。その中国式の饅頭が我が国に渡来するきっかけを作ったのが、中国で修行をしていた禅僧・龍山徳見です。