紙やボードなど、どこにでもある素材がその手にかかると、たちまち生き生きとした造形物に変身してしまう、卓越した超絶技巧を持つ作家。彼らの手はまるで『神の手』のよう。そんな、神の手を持つ現代日本の作家たちの作品を集めた合同展の第2弾が、目黒雅叙園の百段階段会場を皮切りにスタートしました。
昨年、日本全国で巡回された『神の手ニッポン展』は、とても人間業とは思えないような作品が一堂に会しました。
2016年11月18日〜東京都指定有形文化財の百段階段で開催されている「神の手●ニッポン展II」は、第2期アーティストの作品、約230点が展示。さまざまなジャンルの作家たちの、高度な技術に裏打ちされた、細かな作品世界を堪能できます。
展覧会の会場は、東京都指定有形文化財「百段階段」。神の手によって作られた絢爛豪華な空間に、日本のモノづくりスピリッツを継承した、神の手を持つアーティストたちの作品が並びます。
水引の概念が一変する作品を生み出したのは、熊本在住の水引工芸家・内野敏子氏。あわじ結び、四つ編み、三つ編み、など、あらゆる技法を駆使して作り上げられた「鳳凰」。なんと、1000本もの水引を編み組み、1mに及ぶ大作です。
約2mmの卵の殻に装飾を施すエッグアート。本当に華奢で繊細な工芸です。正絹の鮮やかな色合を独自の技法で装飾した作品「玉手箱」。制作はエッグアーティスト・遠藤一恵氏。ぎゅっとしたらぱりんと割れてしまうのかと思うと震えます。
立体間取りアーティスト・タカマノブオ氏は、独学で制作技法を考案したパイオニア。レトロな懐かしさ溢れるジオラマは、原作の映画を100回以上鑑賞して忠実に再現されています。眺めていると、まるで映像作品の中に入り込んでしまったかのような感覚すら覚えます。作品に映っていない部分は、実際に映画へエキストラ参加された方から情報収集するほどのこだわりで制作されているそう。
紙だけでこれだけの表現力!ペーパーアーティスト・中山ゆかり氏の作るペーパーアートは、名画登場人物の性格を動物で誇張するユニークな作風。紙なのに、まるで布のような質感の表現には感嘆。紙だけで表現された西洋の名画たち、西洋画なのになんだか和風な印象に感じられます。
日本初の「革工芸の無形文化財」保持者であるレザーアーティスト・本池秀夫氏。誰に習うのでもなく、道具すら自作するという本池氏の作品は、留め金に使用するわずかの銀以外は全部革で表現されています。顔も紙も服も全部が革製の圧倒的なリアリズム。
同展では、第一期「神の手」作家たちの作品も同時に展示されるとのこと。昨年を超えるボリュームとスケールで私たちを魅了することでしょう。人間離れした超絶技巧の数々を、どうぞお見逃しなく!
「神の手●ニッポン展II」
会期:2016年11月18日(金)~12月25日(日)
開催時間:10:00~18:00 (最終入館17:30)
会場:目黒雅叙園 東京都指定有形文化財「百段階段」
入場料:一般¥1200 学生¥600 小学生以下無料