室町時代に作られた2巻10図からなる絵巻「築島物語絵巻」の素朴さがたまりません!
Japaaanでは江戸時代に描かれた日本画を紹介することが多いのですが、今回は室町時代に描かれたとっても愛らしい作品を紹介します。
日本民藝館が所蔵する「築島物語絵巻」は説話画というものに分類される絵巻で、平清盛の経ヶ島築島の同名の逸話を絵巻にしたもの。
物語の内容は、平清盛が岬に港のための人工島・築島を造成しようとするが潮が荒くなかなか工事が進まない。そこで工事がうまく進むように成就のために人柱を立てる・・・というかなりシリアスな内容。
しかし、、、描かれている建物、人、自然、すべてがゆるく可愛らしいのです。
これは誰が見ても頬が緩んでしまう愛らしさ!
「築島物語絵巻」は思想家であり日本民藝館の設立者でもある柳宗悦(やなぎむねよし)の調査によって、平清盛の逸話を描いたものであることが判明。
上部、建物に閉じ込められた人々の描き方にためらいや「うまく描いてやろう」といった欲など一切感じられません。こういったところがこの作品の魅力。
「へたうま」や「ユルかわ」とひとことで済まされてしまいそうなテイストなのですが、柳宗悦はこの作品を「端々しい美しさ」と評したそうです。
右側の朱色の建物、何でしょうこの描き方は!まるで不思議世界の建造物。
2013年に日本民藝館が開いた「つきしま かるかや」という展覧会でメインで展示された築島物語絵巻。当時の来場者のレビューをいろいろ見てみてもとても評価が高いんです。
ユルいタッチの日本画といえばゆるゆるすぎる「地獄絵巻」というのもありましたがなかなか良い勝負ではないでしょうか。
ゆるゆるすぎるwww 明治時代に描かれた「地獄絵巻」のキュートすぎる世界観
地獄の世界を描いた「地獄絵巻」「地獄草紙」といった作品は数々描かれていますが、今回紹介する地獄絵巻の世界観がどう見てもユルいんです。地獄を描いているのにどこかキュートな鬼と人間の表情がたまりません。…
へたうまとも取れるほどの簡略化された描き方には味わい深さというものが出てくるのかもしれませんね。