人形を見てここまで衝撃を受けることはなかなかありません。今回紹介するのは重要無形文化財保持者、いわゆる人間国宝である人形作家 平田郷陽氏の日本人形。
紹介するのは「粧ひ(よそおい)」という作品で、日本人形としてはとても有名な作品のようなのですが、私は今まで知りませんでした。まずは作品をどうぞ。
これ、完全に生きてますよ!
「これ」ではなく「この方」と言わなければ失礼にも思えてくるほどのクオリティ。昭和6年に発表された作品で高さは43.8cmとそれほど大きいものではないのですが、魂が宿っていますよね。
着物を着た美しい女性が鏡の前でかんざしを挿そうとしているシーンで、鏡を眺めている表情を見ていると引き込まれていってしまいます。頬の赤らんだ感じや肌の質感、魅力的な目元は人形とは到底思えません。
平田郷陽氏は伝統工芸とされていた人形を芸術の域にまで高めた第一人者。14歳から初代 平田郷陽である実の父のもとで修行を始め、大正13年に名前を継ぎました。今では人形は芸術作品として認められていますが、当時は芸術という見方はされていなかったようですね。
作品「粧ひ」は神奈川県横浜市にある博物館横浜人形の家に所蔵されています。