聖なる獣
動物園に行けば必ずと言っていいほど人気者になっている、あの首の長いアフリカの獣「キリン」。
実は世界中を見渡しても、あの動物を「キリン」と呼んでいるのは日本だけなのだそうです。
漢字では麒麟と書きますが、画数が多くて書くのが大変なこの文字、もともとは中国の伝説に登場する幻獣の名前でした。
空想上の生き物である麒麟は、竜・鳳凰・亀と並ぶ「四瑞」の一つに数えられ、鹿の体を持ち、尻尾は牛、蹄は馬に似ており、頭には一本の角が生えているとされます。そして雄を「麒」、雌を「麟」と呼び、つがいで合わせて麒麟となるのです。
その体毛は五色に輝き、決して生きた虫を踏まず、草を折ることもないほど慈悲深いというこの聖なる獣は、王が仁徳を持って善政を行う時にだけ姿を現すと信じられてきました。
鳴き声は音階に合うほど美しく、伝説の王である黄帝や尭帝の治世、あるいは孔子が生まれた時にも姿を見せたそうです。
それにしても、本来、この世に実在しないはずの麒麟が、なぜアフリカの動物と結びついたのでしょうか。その答えは中国にあります。
