戦国時代の恐怖裁判の実態――熱湯&鉄火で決着した拷問級の判決方法とは?

小山 桜子

裏切り、だまし討ち、暗殺・・・。

不穏な空気漂う戦国時代、恐ろしかったのは戦場だけではありませんでした。なんと一般の庶民が行う裁判の仕方にも、戦場以上に恐ろしい方法があったのです。

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湯起請(ゆきしょう)

「湯起請」とは、戦国~江戸時代初期に行われた裁判の一つの方法です。事件があった場合には犯人探しに用いられ、AさんとBさんが揉めに揉めて話し合いでは解決しそうにないという場合にも、どちらの主張に正義があるか定めるために用いられました。

Wikipediaより

やり方はいたって簡単。ぐらぐらと沸騰している熱ぅいお湯に手を突っ込み、火傷をしなかった人が勝訴または犯人ではない、という判断になるのです。簡単といえば簡単ですが、絶対にやりたくない、恐ろしい裁判ですよね。

鉄火起請(てっかきしょう)

もう一つの恐ろしい裁判が「鉄火起請」です。鉄火起請は主に、近隣住民同士の所有地の境界線での争いなどを解決したいという場合に使われました。こちらも湯起請に負けず劣らず、方法はかなりデンジャラス。

まず神仏の加護のあるお札などを手に頂き、自らの正当性を祈念します。それからその手に真っ赤に焼けた鉄の棒を握りしめるのです。

これも火傷の少なかった方が勝訴という判断基準でした。

2ページ目 なぜ恐ろしい裁判は誕生したのか?

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