福井県福井市にある「一乗谷朝倉氏遺跡」で、ちょっと意外なものが見つかりました。
発表があったのは、2025年7月のはじめ。調査にあたったのは、県立の博物館と、帝京大学の研究チームです。
出てきたのは、東南アジア・タイで作られた鉛のかたまり。金属を固めて運びやすくした「インゴット」と呼ばれるものです。鉛といえば、戦国時代には鉄砲の弾などにも使われていた素材。
それが、こんな日本海側の山あいで見つかるなんて――。
調べによると、タイ産の鉛が本州の日本海側で見つかったのは、今回が初めて。
なぜそんな遠くの鉛が、ここまで運ばれてきたのでしょうか。
昔の日本は、思っているよりずっと外の国とつながっていました。琉球を通じた貿易、南蛮と呼ばれたヨーロッパとの取り引き。15世紀以降、海を越えてさまざまな品がやって来ていました。鉛もそのひとつだったのでしょう。
今回の発掘では、鉛のインゴットだけでなく、鉛とスズの合金で作られた弾や、それを入れる容器まで見つかっています。戦いの準備に、遠くの資源まで活用していた。朝倉氏の力の一端が、そこからもうかがえます。
