頭に11の顔がついた仏さま「十一面観音」実は11の違う種類の顔がある……わけじゃないって知ってた?

雲川ゆず

みなさんは「十一面観音(じゅういちめんかんのん)」という言葉を聞いたことがありますか?言葉からはなかなかイメージできないかもしれませんが、頭に11の顔がついた仏さまのことです。

複数のお寺で十一面観音の像が見られるため、みなさんのなかにも実際に見たことがある、という方も多いかもしれません。

そこで、今回の記事では、そんな十一面観音について迫ってみたいと思います。頭についている11の顔はすべてが異なる種類ではないなど、意外とみなさんが知らない事実も多いはずです。ぜひこの記事を最後まで読んで、十一面観音について詳しくなりましょう。

十一面観音とは?

十一面観音とは、頭に11の顔がついた仏さまのことです。360度、すべての方向を見守っている・全方位を見渡している観音菩薩で、苦しんでいる人をすぐに見つけるために11の顔があると言われています。

十種勝利(じゅっしゅしょうり)と呼ばれる現世利益(生きているうちに効果がある)と、四種功徳(ししゅくどく)と呼ばれる来世の平穏を祈るご利益があると言われています。

十種勝利には、「病気にならないこと」「すべての仏の守護を受けること」「財産や大切なものを守ること」「敵を服従させること」「権力者に敬愛されること」「毒・熱病などにかからないこと」「刃物で傷つけられないこと」「水難事故で亡くならないこと」「家事で亡くならないこと」「不慮の事故で亡くならないこと」が含まれます。

四種功徳には、「地獄に落ちないこと」「極楽浄土に行けること」「死の間際に仏を見ること」「危険な状況で亡くならないこと」が含まれます。

こうしたさまざまなご利益があることから、千手観音菩薩とともに人気の高い観音です。また、六観音の1つに数えられ、修羅道に迷っている人々を救うとされています。

十一面観音の歴史

十一面観音がどうして11の顔を持っているかなど、数の由来については明確な記述がなく、わかっていません。ヒンドゥー教の多面多臂(ためんたひ)の像(多くの顔・腕がついた像)に影響を受け、7世紀ごろ成立したと考えられています。

中国を経て、日本には7〜8世紀ごろ伝わり、信仰を集めたとされています。上記のようにさまざまなご利益があったことから、多くの十一面観音像が祀られました。

2ページ目 知っているとちょっと自慢できる十一面観音のトリビア

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