「シルクロードの終着駅」
奈良の正倉院といえば、古代の宝物が集められたタイムカプセルのようにイメージする人も多いでしょう。
正倉院は東大寺大仏殿の西北にある建物です。その歴史はとても古く、七五六年(天平勝宝八)の聖武天皇の死去に伴い、その遺品が光明皇太后によって東大寺に献納されたのが始まりだとされています。
それ以降もたびたび献納が行われ、現在でもそれらの品々がまとめて保管されています。
こうして正倉院に集められた遺品には、服飾品・楽器・調度品・刀剣など、さまざまなものがあります。中には大陸から伝わった宝物も含まれているため、正倉院はシルクロードの終着駅だと呼ぶ人もいるほどです。
しかしこの正倉院、歴史の中で平穏無事に守られてきたわけではありません。
上記のように正倉院は、八世紀の奈良やアジアの宝物を集めた蔵として今日まで残ってきました。しかし全ての品々がきちんと保存されてきたわけではなく、それらの宝物は奈良時代以降、何度も略奪にあっているのです。