日本の伝統文化「相撲」。今ではスポーツとして捉えられていますが、その歴史は長く、古墳時代の埴輪には、「まわしを身に付けがっぷり四つに組んでいる」力士を思わせるものがあったそうです。
時代の流れとともに相撲の意味合いは変化し、江戸時代には歌舞伎と並ぶ一般庶民の娯楽として普及しました。
相撲というと男性だけの競技で、「女性は土俵には上がってはならぬ」などという「しきたり」があるといわれていますが、実は「女相撲」も昔からあり歴史は古いのです。
「女性は土俵から降りてください」事件
2018年、4月4日に京都府舞鶴市で開催された「大相撲舞鶴場所」において、当時の舞鶴市長が土俵上で挨拶の最中、突然クモ膜下出血を発症、意識を失い転倒し、観客だった女性看護師が駆けつけ救命処置を行いました。
その時、日本相撲協会の行司が「女性は土俵から降りてください」と場内放送を行い、相撲協会員が女性たちへ直接「下りなさい」と指示。
「緊急事態なのに人命軽視だ」「女性差別にもほどがある」と世論が沸き上がり、日本相撲協会理事長が「不適切な対応だった」と謝罪をした件は、記憶に新しいところです。
「大相撲は女性を土俵にあげないことを伝統としてきた」ため、若い行司が判断を誤ってしまった、指導不足だった……とのことですが、日本には古来から「女相撲」があったのに、なぜ「土俵は女性禁止なのだ」と感じた人も多かったようです。
相撲の起源としては、『古事記』(712年)や『日本書紀』(720年)の中にある力くらべの神話や、力自慢であった野見宿禰 (のみのすくね)と當麻蹶速 (たいまのけはや)による、天覧相撲(天皇が観戦する相撲)の伝説があげられます。
その後、平安時代には農作物の収穫を占う祭りの儀式となり、戦国時代には武士の戦闘の訓練として盛んに行われるようになったそうです。
さらに、江戸時代になってからはスター力士も登場し、一般庶民の間でもファンが増え、歌舞伎と並ぶ人気娯楽となっていきました。