政の現場にあって民の声を聴き、主君を支え続けたいから、と関白の座を望まない藤原道長(柄本佑)。前評判とは打って変わって、朝廷の内外で声望を得つつありました。
一方で関白の座を逃し、憤懣やるかたない藤原伊周(三浦翔平)は妾の藤原光子(竹内夢)を訪ねたところ、彼女の館には立派な牛車が停まっており……。
NHK大河ドラマ「光る君へ」、今週も面白かったですね。第19回放送「放たれた矢」では、藤原隆家(竜星涼)の放った矢が、花山院(本郷奏多)を脅かす大騒動に発展します。
出家しても女性問題…花山天皇(法皇)、藤原忯子の妹に恋をし通っていたことがバレて襲撃される「長徳の変」
また藤原為時(岸谷五朗)が十年ぶりの除目にあずかり、長い冬が終わりを告げようとしていました。
それもこれも、すべてはまひろ(紫式部。吉高由里子)のおかげ?……というドラマ的なご都合主義には目をつぶり、今週も気になるトピックを振り返っていきましょう!
第19回放送「放たれた矢」略年表
長徳元年(995年)
- 7月24日 道長と伊周が激しく口論
- 7月27日 道長と伊周・隆家兄弟の従者同士が京都七条大路で合戦
- 8月2日 道長の随身・秦久忠が隆家の家臣に殺害される
- 9月 朱仁聡ら宋人70余名が若狭国へ来航
長徳2年(996年)
- 1月16日 藤原隆家が花山院を襲撃。放たれた矢が法衣の袖を射抜く(長徳の変)
- 1月25日 藤原為時が淡路守に任じられる
- 1月28日 藤原為時の抗議により、淡路守から越前守に転任する
その他(時期不明)
- 伊周が光子の浮気を疑う
- 藤原為時が従五位下に叙せられる(今回以前にあった可能性も)
※道長と隆家らが繰り広げた七条大路の合戦について
平安時代にも流血抗争があった!藤原道長と藤原隆家が繰り広げた「七条大路の合戦」とは?【光る君へ】
劇中ではしれっと飛ばされていましたが、実は藤原氏長者の座をめぐって抗争があり、合戦にまで発展しています。
合戦は道長方の勝利または優勢に終わったものの、数日後にお礼参りで道長は随身(ずいじん。側近)を殺されてしまいました。
ちなみに当時、京都の治安を守る検非違使別当(けびいしべっとう。長官)は隆家だったそうです。
現代で言えば警察のトップが、私怨で総理大臣に戦争を仕掛けるような感覚でしょうか。こんな人物に治安を任せていたのでは、治まるものも治まらなさそうですね。
平安時代とは言え、まったく合戦がなかった訳ではありませんでした。