この作品、どことなくピカソのテイストに近くないですか? この作品を最初見た時、ピカソの絵に似せて誰かが描いたのかと思いました。
でもこれ、伊藤若冲の作品なんです。もちろん伊藤若冲ってピカソの生まれるずっと前に亡くなっていますよね。
これは伊藤若冲の「付喪神図(つくもがみず)」という作品です。付喪神とは日本における民間信仰に見られる考えで、古くなった道具や自然物に神や霊魂などが宿って誕生するものとされています。
伊藤若冲が描いた付喪神図は何が神化したのかすべてを把握することはできませんが、湯飲みや琵琶を思わせる形をしたものがありますね。
付喪神の表情には伊藤若冲のユーモアが感じられます。目の描き方がとってもひょうきんに描かれています。
そしてこの作品の描きかた、グラデーションがとってもモダンに感じられます。私はこれを最初にみてどこかピカソ的な印象を受けました。ピカソのゲルニカにも似ているかなとも思ったり。
今見てもまったく色褪せることのない作品、伊藤若冲が今もなおリスペクトされている理由がこの作品にも感じられる気がしますね。