セットの食器って、使うと気持ちいいですよね。特に10組セットを10人で使うように古ポテンシャルを発揮できると、用意する段階から楽しくなってしまいます。
でもどういう訳か、セットの食器って大抵1組がどこかへ行ってしまったり、割れてしまったりしてしまうもの。まさに満ちたる月の欠けざるなし、でしょうか。
「残り9組あるからいいじゃないか」……確かにそうなのですが、いま目の前にある9組よりも失った1組の方が心に残るのが人間というもの。
「あの時、息子が割っちゃったんだよね……」
「貸したっきり、返してくれなくてさ……」これではせっかくの時間が台無し。
かと言って「残り9組も要らない!」と、なかなか断捨離にも踏み切れないのが人情。だってもったいないから……。
往時の武士たちにもそんな迷いがあったようで、今回はそれを振り切った「賤ケ岳七本槍」加藤嘉明(かとう よしあき)のエピソードを紹介したいと思います。