『西遊記』の沙悟浄は河童ではなかった!?中国の古典はいかにして誤読されたか

中国の古典に日本の妖怪?

中国の古典『西遊記』は日本でもとても有名ですね。本編を読んだことがなくても、子供の頃に粗筋だけでも見聞きしたことがある人や、例の実写ドラマでよく見知っているという人も多いでしょう。

しかしそれだけに気付きにくい、不自然な点があります。日本で翻訳されてきた『西遊記』に登場する沙悟浄というキャラクターは「河童」として描かれていますが、考えてみると河童は日本の妖怪であり、中国にはいないんですよね。

では、本家本元の『西遊記』では、沙悟浄はどんなキャラクターとして描かれているのでしょうか? そして、なぜ沙悟浄は「河童」として描かれるようになったのでしょうか?

まず、原作の沙悟浄がどのように描写されているかを見て行きましょう。彼は外見については単に「妖怪」「気味の悪い男」「気色悪い男」としか記されておらず、何かをモチーフとしたキャラクターという訳ではありません。

特徴と言えば、青や黒に近い顔色と、ふわふわの髪で頭頂部は剃っているといった風貌くらいしかありません。孫悟空の「猿」、猪八戒の「豚」と比べると、何だか曖昧な感じがして想像しにくいところがあります。

2ページ目 沙悟浄とは何者か

次のページ

この記事の画像一覧

シェアする

モバイルバージョンを終了