前回は参議院の歴史についてご紹介しました。もともと貴族院だったものが解体されて、全国民から選出される参議院になったのでしたね。
今回は、そんな参議院に望まれる役割とは何なのか、選挙において大切な軸は何なのかを考察したいと思います。
前回の記事「参議院の歴史」参議院はかつて違う名前になりそうだった?戦前と戦後の議会の違い
参議院は「意味がない」?
参議院の定数は245名(令和元年7月29日から令和4年7月25日まで。令和4年7月26日以降は248人)と、参議院は衆議院のほぼ半分くらいの人数です。
そんな参議院の役割と言えば、与党の暴走阻止、つまり衆議院のいきすぎをけん制する役割と言われています。
「でも参議院の与党が衆議院の与党と同じだったら、意味ないんじゃないの?」
なんて思う方もいるかもしれません。でも、別の「違い」に注目してみると、参議院の意義が見えてきます。
任期が長い理由
参議院の任期は任期4年の衆議院より2年長い6年です。3年ごとに半数改選されますが、内閣による解散がないため、参議院の議員は衆議院の議員よりも比較的選挙を意識せずに安定した状況で議題に集中して取り組めるという大きな特徴があります。
つまり、重点的に取り組むべき政策の種類が衆議院とは異なるという事なのです。
衆議院では目先の経済対策や社会保障など、今私達一般の国民が困っている事、直接国民の支持につながりそうな議題に比重が置かれがちであるのに対して、参議院ではそうでない長期的な視野が必要となる議題にも取り組みやすいと言えるのです。
たとえば北方領土などを含む領土問題。ロシアのウクライナ侵攻で再注目されている憲法問題。少子化対策、教育の課題などなど。
経済対策が中心になりがちな衆議院とは違い、今からじっくり取り組まなくては未来の解決に繋がらない大きな問題に集中するための参議院なのです。