かっぱ橋道具街の「かっぱ」はやっぱりあの妖怪だった…!地名にまつわる伝承を解き明かす

合羽屋喜八による土木工事

「かっぱ橋道具街」のことは、皆さんはご存じでしょうか?

台東区の浅草と上野の間に位置する、食器や調理器具などを取り扱う問屋街です。

ちょっと昭和の香りが漂う、古き良き商店街です。

ところでこの「かっぱ橋」の「かっぱ」は、日本人なら誰もが知っている妖怪「河童」のことなのです。

「かっぱ橋」の街並みがあるあたりは低湿地で、江戸時代には排水溝として人工の河川が掘られていました。

しかしこの河川は大雨が降るとすぐに氾濫します。そこで、当時この地で雨合羽を売っていた合羽屋喜八という人物が、私財を投げ打って河川の氾濫を防ぐ工事を始めたといわれています。

ここまでだと、「かっぱ」に関係する人が浅草にいた……という話で終わってしまい、妖怪の河童は無関係のように見えますね。

しかし、なんとこの土木工事の際、その作業を河童たちが見守っており、さらには彼らが工事の手伝までしたという伝説があるのです。

なぜこのような話がまことしやかに語り継がれているのでしょうか。

その謎を解くには、まず、「河童」という妖怪について掘り下げて知っておく必要があります。

河童と言えば、緑色の体で、頭にお皿が付いており、胡瓜が大好物の妖怪……というイメージを多くの人が持っているでしょう。

そんな河童の由来を探っていくと、実はいろんな伝承やオバケが混ざり合ったものだとする説に行き当たるのですが、そのひとつに、河童は「土木工事」に関係していると考える説があるのです。

3ページ目 河童の由来は奈良時代

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