薬師如来、観音菩薩…古代日本では仏像は敵を呪い倒すための”呪具”だった!?

仏像は敵を呪うための道具!?

仏像と言えば基本的に「慈悲」「救い」の象徴というイメージですが、実は古代日本ではもっと他の意味合いも込められていました。

もともと仏教では、図式的に捉えると「煩悩」と「悟り」が対立しています。煩悩から解き放たれれば悟りを開いて仏になれるというわけですが、こういう図式で捉えると、煩悩というのは言うなれば仏教にとっては「敵」であるわけです。

となると、仏像というアイテムも、「敵」を倒すための道具と見られるようになります。ゆえに仏像は単なる飾り物ではなく、敵に対して威力を発揮する魔法のアイテムです。こうして古代日本では、仏像は「呪具」としてのイメージも持たされていたのです。

呪いと仏像、という組み合わせは奇妙に感じられるかも知れません。しかし「呪い」の反対は「祝い」です。仏様は人々に祝福をもたらすことができるのだから、だったら同様に呪いをもたらすくらいのパワーも持っているだろう、と考えられていたのです。

「呪い」のアイテムとしてよく使われたのは、薬師如来と観音菩薩の像です。

薬師如来は病気平癒の利益がメインと思われがちですが、実際にはそればかりではありません。その姿を拝むことで、食べ物で飢えないとか貧しい人に衣服をもたらすなどのご利益をもたらしてくれるとされていました。

2ページ目 民衆の欲望から国家の安泰へ

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