性風俗文化の歴史は長い。それは日本においても例外ではなく、その時代ごとの文明に色濃く反映されている。中でも「春画(しゅんが)」は風俗文化を象徴する存在であり、日本でも古くから親しまれてきた。
今回は、【前編】に続き日本における春画の歴史と移ろいについてご紹介する。
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風俗文化の象徴。性愛・性交を描いた絵画「春画」の歴史と移ろい【前編】
江戸時代における春画
江戸時代になると「春本(しゅんぽん)」の出版も開始され、挿絵として利用された春画の需要は庶民の間で広がりを見せる。
1722年、幕藩体制強化のため打ち出された享保の改革によって春本が禁止されると、春画の需要はさらに拡大。当時を代表する浮世絵師たちの多くは春画を描き、浮世絵春画の完成度は飛躍的に向上した。
江戸期に春画を手掛けた代表的な絵師
・菱川師宣(ひしかわもろのぶ)
1600年代に活躍した江戸時代初期の画家。挿絵としての浮世絵の品質を向上させ、芸術作品として昇華させた立役者とされる。代表作は「見返り美人図」。春画の製作にも心血を注ぎ、多くの作品を残している。
・鳥居清長(とりいきよなが)
江戸中期の浮世絵師。美人画で知られる。春画の製作にも積極的であり、横長形式で描かれた「袖の巻」は清長の代表作として広く知られている。
・喜多川歌麿(きたがわうたまろ)
江戸中期の浮世絵師。江戸庶民を題材とした美人画を多く残した。歌麿の作品の題材となった女性は有名になった程影響力が強く、幕府から再三の表現制約を受けるほどであった。
・葛飾北斎(かつしかほくさい)
江戸後期を代表する浮世絵師。富嶽三十六景や百物語で知られ、生涯に数万点の作品を残した。また転居の回数や食事の癖など、ユニークな生活様式でも知られる。「蛸と海女」などの春画も多く残した。
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