大河ドラマや映画など、様々なメディアで取り上げられることの多い戦国時代。有名な合戦や武将も多く、ファンだという方も多いのではないでしょうか。
華やかな下剋上、かっこいい武将のエピソードの多い時代である一方、戦国時代は、残酷で暗い顔も持っています。その一つが、今回ご紹介する「乱妨取り(らんぼうどり)」です。
乱妨取り(らんぼうどり)とは?
乱妨取りは、戦国時代に行われた、戦のあとに兵士が物や人を略奪した行為です。乱妨取りという言葉の他に、乱取り(らんどり)と呼ばれることもあります。戦いが行われた地域には農村が含まれていたことも多く、農家の作物や家財、金品を奪ったりしました。
さらに、略奪行為は人にまで及び、人身売買目的で連れ去られたり暴行されたりすることもありました。これらの行為は、大名も黙認し、「悪事ではない」と何の罪にも問われなかったと言います。
捕虜になったら100万円?戦国時代の身代金相場は、かなり絶妙な価格設定だった
「ガキを返して欲しければ、〇〇〇〇万円用意しな……!」刑事ドラマなんかでよく聞かれるこんなセリフ。人質をとって金品などの要求を突きつける手口は昔から使われており、もちろん戦国時代でも多用されて…
これらを褒賞としたり、兵卒たちの士気を保ったりすることにも使われたと伝えられています。
実際にはどんな乱妨取りが行われた?
ここからは、実際の合戦において、どのような乱妨取りが行われていたのか、ということをご紹介します。例えば、徳川家が豊臣家を滅ぼし、戦国時代より続いた大規模な戦闘の最後を飾った大坂夏の陣。この終結直後、徳川の雑兵たちによる乱妨取りが行われました。
これは大規模な略奪だったといい、この乱取りの様子は、「大坂夏の陣図屏風」という有名な絵に残されています。「戦国のゲルニカ」とも呼ばれるこちらの絵には、連れ去られたり、暴行を受けたりする人々の姿などが描かれています。