1円玉のデザイン見てごらん。実はそこに描かれてた「木」は実在しないんです

増田 吉孝

一円硬貨の表に描かれた木がありますよね。その木って実は実在しないものなんです。通称「若木」と言われていて特定の木が存在しないわけです。

日本の硬貨で表に植物が描かれているものと言えば、五円玉は稲穂、五十円玉は菊、百円玉は桜、五百円玉は桐が描かれていますが、一円硬貨だけは特定の植物がないんですね。

一円硬貨は実は昭和29年に五十円硬貨と共に初めて一般公募されたデザインなんです。裏表両面、一般公募の中から選ばれたデザインで、採用されたデザインの応募者にそれぞれ37,500円が賞金として贈呈されたそうです。すべて1円硬貨で贈呈される…なんて茶目っ気たっぷりなことはしなかったようです。

そして驚くべき事にこの一円硬貨、生産するたびに赤字なんだそうです。貨幣発行益は2003年(平成15年)当時で1枚当り13円の赤字とのこと。現在でも1円玉の製造に約3円かかるそうです。消費税が8%に上がった事で需要が高まる事から2013年から2014年にかけて2億枚近く製造されました。

それにしても一円硬貨のデザインはシンプルでステキだと思います。現在ウェブデザインのトレンドとなっているミニマルなデザインに通じるものがありますよね。若木のデザインがアイコン素材として配布されていても遜色ないデザインです。

シンプルに余分な装飾をはぶいたデザインは日本の美にも通じるところがあります。

日本の紙幣デザインは世界トップレベルと言われていますが、一円玉のデザインもまた日本文化を継承した立派な存在なのです。

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