時は戦国乱世、血で血を洗う死闘が全国各地で繰り広げられる中、大名や武将たちは必死に生き抜いていました。
とは言っても、やはり彼らも人間ですから、時には緊張をときほぐし、ジョークの一つも楽しみたいのが人情というもの。
そこで今回は、戦国大名の中でも親父ギャグが好きだったらしい伊達政宗(だて まさむね)のエピソードを紹介。
これが面白いかどうかはともかく、温かい目で見守って頂けると嬉しいです。
政宗、プレゼント交換会を企画する
さて、今は昔の慶長19年(1614年)、政宗は陣中の気晴らしとしてレクリエーションを思いつきます。
「みんなでプレゼント交換会をやろう!それぞれとっておきの宝物を持ち寄って、ゲームに勝った順に好きなモノを選べるようにしよう!」
こういうことを言われると、つい見栄を張りたくなってしまうのが人間の可愛いところで、呼びかけられた者たちは鞍の泥障(あおり)や弓矢など、自慢の宝を次々と持ち寄りました。
「ほう、これは逸品……あれは業物……どれもこれも素晴らしくて、選ぶのに目移りしてしまいますなぁ!」
まだゲームに勝ってもいないのに迷い始める者がいるくらい、お城の中庭は宝物がうずたかく積み上げられていきます。
「ところで、伊達殿の宝物は何じゃ?」
「さぁ、まだお越しでないようだが?」
政宗は後世「伊達男(だておとこ)」の語源になったほどセンス抜群なお洒落好き。さぞや絶品を持ってくるに違いない……誰もが期待していたところへ、政宗がやって来ました。
「……あれ?」
政宗が手に持っていたのは、古びて汚い瓢箪(ひょうたん)が一つ。どうやらこれがプレゼントとのこと。
「……はぁ、さいで」
みんなの拍子抜けぶりが目に浮かぶようです。