みなさんは『黄素妙論』(こうそみょうろん)と呼ばれる書物をご存知でしょうか。この書物は性行為における心得を記した参考書で、天文21年(1552)に曲直瀬道三(まなせ-どうさん)が松永久秀へ献上しました。
内容は、女性との性行為に及ぶ際や心構えや適切な回数など、実用的なものばかりがふんだんに盛り込まれています。
今回は、そんな『黄素妙論』の気になる内容に触れつつ、著者の曲直瀬道三のこともご紹介します。
日本医師中興の祖・曲直瀬道三
『黄素妙論』の著者である曲直瀬道三(まなせ-どうさん)は、日本医学中興の祖と称される医師です。また、他の医師・田代三喜(たしろ-さんき)、永田徳本(ながた-とくほん)と並んで医聖とも称されました。
そんな道三は生まれて間もなく両親を失い、13歳になる永正13年(1516)の頃には京都相国寺にて仏門へ入ります。享禄元年(1528)には関東へ赴き、足利学校で医学について触れました。
そのことがきっかけになり、天文15年(1546)に還俗して医業を専念するまでに至ります。
その後、道三は足利義輝や正親町天皇といった将軍や皇室、毛利元就や織田信長といった大名、さらには宣教師のオルガンティノといった人物たちの診療を行いました。
また、『黄素妙論』は京都にて義輝を診療した際に、松永久秀へ献上しました。
女性を大切に扱うべし
ここからは『黄素妙論』の中身について触れていきます。
まず、女性との性行為に及ぶ際には、自分自身が健康体であることとこの本では記されています。それにあたって、過度な暴飲暴食を避けるべきと念を押しています。
また、相手となる女性に関しては、次のサインが出たら性行為を行って良いと、道三は説きました。
- 女性の性器が暖かく潤っている時
- 女性が口を開けて舌を出し、息づかいが荒くなった時
- 女性が絶頂に際し、抱きしめながら唇を重ねてきた時
以上の行動が女性の見せるサインとなっており、この本ではサイン別の対処法の手順も記されてあります。
お互いが気持ちよく性行為に及べるように、激しい動きや頻繁に求めるなどをせず、女性を気遣うことが大切、とも記されています。