「逢う魔が時」(おうまがとき)……という時間帯をご存じでしょうか。
昼と夜の間、少し薄暗くなってきた夕方の「黄昏時」(たそがれどき)を指します。
時間でいうと、だいたい午後5時〜7時の間ごろ。秋になると、日が暮れるのが早くなり、この逢う魔が時は早く訪れますよね。
実は、この時間帯、昔から「魔物や災いに遭遇する時間帯」として恐れられているのです !
逢う魔が時(おうまがとき)とは?
「逢う魔が時」(おうまがとき)は、逢魔時、大禍時とも書きます。字面だけ見ても、ちょっとまがまがしい感じがしますよね。
逢う魔が時は、太陽が落ちかかり始め周囲が薄暗くなってくる、昼と夜の間の時間帯のことで、「黄昏時(たそがれどき)」を指します。
黄昏は、西側の空が、沈みゆく太陽の名残りで赤味を帯びた茜色の空から徐々に紺色へとグラデーションに変化していく、あの美しい時間帯。
電気のない昔、黄昏時はぼんやりと薄暗くなるので、人の顔が誰だかはっきりとわからなくなり「誰ぞ彼(あなたは誰ですか)」と尋ねる風習があったそうです。
古くは、源氏物語の中に
寄りてこそ それかとも見めたそかれに ほのぼの見つる花の夕顔
(近くに寄って見なければ、誰かとはわかりませんよ。黄昏時にぼんやりと見たのだから。美しい花の夕顔を)
という、夕顔の君の歌に対し光源氏が返した歌に「たそかれ」が登場します。