音が聞こえる範囲は聖域。実は魔除けだった夏の風物詩「風鈴」には”流行り病”から守る力も

高野晃彰

夏になると、恋しくなるのがチリリン……と風に乗って聞こえてくる涼やかな風鈴の音色。日本の夏を代表する風物詩でもあり、どこか懐かしい気分にもなりますよね。

風鈴はガラス・金属・陶器など種類があり、また地域によって形や柄など特徴が異なるのです。その歴史はとても古く、音色を楽しむだけではなく流行病などを追い払う魔除けとして用いられた時代もありました。

実は、風鈴には涼しさを感じる以外にもいろいろな効果があったのです!2020年の夏は、9月まで高温が続くと予想されています。この夏は窓辺に風鈴を飾ってみましょう。

風鈴は平安時代から使われていた

夏になると軒先に飾られる風鈴。いつぐらいから存在していたのでしょうか。

実は、風鈴は中国から伝わってきたといわれています。(諸説あり)
一説によると、唐の時代に占いの道具として用いられていた「風鐸(ふうたく)」が、風鈴のルーツだとか。

唐では、青銅製の鐘を竹林に吊るし、風向きや音で吉凶や政治判断を行っていました。その風鐸が仏教文化とともに日本に伝わってきたのは平安時代

当時、「流行病」や「凶事」は風が運んでくるという考えがあり、お寺では風鐸を軒先にぶら下げ「音が聞こえる範囲」は聖域としていたそうです。そして、貴族たちも「病除・魔除け」として愛用していました。

2ページ目 地域によって異なる風鈴

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